ゆさゆさ……ゆさゆさ……と体が揺らされる。
なんだろう? と思ってゆっくり目を開けるとミレがボクのことを揺すっていた。
「ん~。ミレ~?」
ボクの言葉を聞いたみれはこくんとうなずくとボクに抱き着いてきた。
部屋が明るいので外はもう朝なのだろう。
「ん。おきる……」
ミレに手を引かれたのでまだ眠いけどさっさと起きることにした。
ボクが起き上がるとミレが万歳するような動きをしたので、ボクも真似して万歳をする。
すると、近くにいたフェアリーノームたちがボクの寝巻を脱がし始めた。
これは知ってる。幼稚園でよくやるやつだ。
寝巻はあっという間に脱がされ、パンツ一枚になる。
すると次は、パンツを脱がされそうになったので慌ててガードをすると、ミレがそれを見てバツ印を胸の前で作る。
どうやら何かをやるので抵抗しては駄目らしい。
仕方なく脱がされるままにしていると、ミレがメジャーのようなものを取り出してほかのフェアリーノームたちと一緒にボクの体に巻き付け始めた。
足先から頭の上まで測られ、首回りや腕周り、背中を測られる。
さすがに胸周りを測られたときは冷たい感触にびっくりしてしまった。
胸周りは先っぽと下のほう、それからお腹を測られ腰回りを測られる。
そこが終わると脚を開くよう指示されたので、少し開くと太ももの付け根の部分にメジャーのようなものを巻き付けられ測られた。
やっぱり冷たい……。
ふくらはぎ周りまで測られたのでもう終わりかと思ったら、今度は椅子を用意されて座るように指示された。
椅子に座ると脚を持ち上げられ、足のサイズを測られることに。
この間、ボクはずっと裸だった。
裸のまま椅子に座るとか変な感じだ。
一通りの計測が終わると、ミレはほかのフェアリーノームに何かを指示した後ボクの隣へとやってきた。
そしてそのままなぜかボクの膝の上に座る。
ミレのふさふさ尻尾が太ももに擦れてこそばゆい。
ところでミレさん? 君だけ服を着ているのはずるくない?
そんなことを考えていると、ミレに指示を出されていたフェアリーノームが大きな衣装ケースを牽いて戻ってきた。
どうやらあの中身がボクの服ということらしい。
フェアリーノームが持ってきた大きな衣装ケースの中にはいろいろな服や靴下、靴が入っており、その中からミレが薄桃色の下着と水色のワンピース、白いハーフパンツと白いサイハイニーソックス、黒のショートブーツを選んで取り出す。
どうやらこれがボクの着る服のようだ。
というわけで早速ミレの指示の下、ボクの着替えが始まった。
ボクだけでも着られそうだけどボクが動くとミレがダメというのでされるがままだ。
あっという間に着替えが終わり、最後に靴を履くと今度は革のプロテクターを用意されたので、それも装着してもらう。
見た目だけならお嬢様系軽装備剣士っぽい。
ミレがしきりにうなずいているので、満足していただけたようだ。
もちろん、ほかのフェアリーノームたちもご満悦。
「でも、よくこんな服があったよね。うわぁ、ひらひらしてる」
なんとなく気になったので服のあちこちを摘まんだりして確認。
するとミレが大きな姿見を持ってきた。
鏡を指さしているので確認してみろと言っているようだ。
「う、うへぇ~……。こ、これがボクかぁ。一回だけ見たことあるけど……やっぱり可愛いなぁ……。うへへ」
はっ、しまった。つい自分に見とれてしまっていた。
急に恥ずかしくなったので周囲を確認してみる。
ボクを見ているのはどうやらミレだけのようで、ほかの子たちは何やら裸になって尻尾を振って確認していたり耳をピコピコさせていたりしていた。
特にあのお尻を向けて尻尾を振る子としゃがんで確認しながら何かを書いている子は何をやっているんだろう。
何やらすごく熱心に書き込んでいる。
「ねぇミレ、あの二人は何してるの?」
尻尾を振っている子の指しながらミレに尋ねると、少し考えた後にミレがボクのお尻を触ってきた。
「わわっ、なに!?」
今は耳も尻尾もない状態なので人間と変わらない姿になっている。
そんなボクのお尻を触りながらミレは尻尾があるはずの場所をとんとんと叩いた。
あ、しっぽ出せばいいのかな?
変化を解き妖狐の姿になると、服の中の尻尾をミレが引っ張り出し始めた。
何をしているのかわからないけど、むず痒い。
しばらく様子を見ていると、ワンピースの後ろのひらひらの部分から尻尾が出たのが分かった。
なるほど、尻尾穴のデザインを考えてたのか。
ボクが理解したことが伝わったのか、ミレがサムズアップした。
みんな色んなこと考えてるんだなぁ。
とはいえ、せっかく妖狐の姿になったので鏡の中のケモミミ美少女を見ることにした。
うん、かわいい。
つ、ついでにピースとかしちゃったりして……。
う、うへへ。
そんなボクの様子を見たミレは何やら見覚えのある機械を取り出した。
あ、これカメラだ。
ミレがカメラを向ける。
ボクは思わずにへらと笑う。
当然シャッターを切られた。
どうやらポラロイドカメラだったようで写真はすぐに出てきた。
早速ミレと確認してみるとそこには不器用な笑顔をした、残念ケモミミ美少女が写っていた。
こ、こんなはずでは……。
何かを察したのか、ミレはボクの肩をぽんぽんとたたくのであった。
余計に落ち込むから慰めないでほしい……。