ゲームと小説と遊びの子狐屋じゃくまるブログ

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神様になったTS妖狐はのんびり生活したい~もふもふ妖狐になった新人神様は美少女となって便利な生活のため異世界と日本を往復する~ 第十四話 フェアリーノームたちの問題

 ボクとミレは目の前の街に向かって歩く。

 あの街は何の街なんだろう? やっぱりフェアリーノームの街なんだろうか?

「ねぇミレ。あの街はフェアリーノームの街なの?」

「はい。そして私たちはあの街にある水晶に用事があります」

 どうやらボクもあの街に行く必要があるようだ。

 

「ところで」

 ボクはミレに対して思っていたことを聞こうと思った。

「はい」

「ミレの声って、きれい、だと思う」

「そ、そうですか?」

 照れたように言うミレが可愛らしい。

「主様のお声は可愛らしいですよ? お耳も尻尾もキュートですし」

「へ!? あ、あ、あり、がとう……」

 そう言われると何だか妙な気分になる。

 そ、そっかぁ。

 ボク、可愛いかぁ……。

「うへへ……」

 思わず口から漏れてしまった。

 あぶないあぶない。

 

 最近気付いたことだけど、男の体の時と女の体の時は別に違和感というのはなかったのに、かわいいとか言われると妙にこそばゆく感じてしまうのだ。

 ちなみにトイレは座ってする派なのでそのあたりも違和感というのはなかった。

 まぁ拭き取るというよりは吸い取るという感じになるので後処理に時間はかかるけど……。

 

 フェアリーノームの街はきれいに整備されているようで、見ていて気持ちがよかった。

 建物はカラフルな木組みの家だったりレンガの家だったりしていてバリエーションが豊かだし道に敷かれた石畳もカラフルだったりするのだ。

 

「すごく、かわいい街」

 農村のような家も好きだけど、この街にはそういった雰囲気の建物は一切ない。

 どの建物もきれいだし、なんなら今もフェアリーノームたちが建物の外壁掃除をしていたりするくらいだ。

 

「いくつかある街の中でもここは一番大きな街なんです。なので、ほかの街以上に景観には気を使っています」

「へぇ~」

 道を歩いていると通りかかったフェアリーノームが興味深そうにボクを見てくる。

 やはり、よそから来た別の種族というのが珍しいようだ。

 

「主様、人気ですよ?」

「そ、そうかな? 遠巻きに見られてる気がするけど……」

 近寄ってくるならまだしも、遠巻きに見られてるのに人気といわれてもよくわからない。

 

「興味がなければ誰も見ませんよ? 興味があるから見るんです。人間と同じだと思わないでください」

 ミレにそう言われてボクは気が付いた。

 フェアリーノームという種族は波長が合わないものには興味がないのだと。

 そっか、そうだよね……。

 

「説明されてたのに忘れてるなんて、頭悪すぎた……」

「ふふ、そう卑下しないでください」

 ミレは落ち込むボクの頭を軽くなでてくれた。

 

 今更だけど、ミレとボクの身長はそんなに差がない。

 大体120cm近辺じゃないかなと思う。

 目測だけど。

 

「ミ、ミレたちは、大人の姿って、あるの?」

 ちょっと気になったことだ。

 もしかしてこの姿が大人とか?

 

「私たちが本当の意味で成長するには主様と一緒にいる必要があります。私たちでは成長するには要素が足りないんです」

「へ、へぇ~」

 どういうことかわからないけど、ミレたちにはボクが必要だということだけはわかった。

 そっか、ボクは必要なのか……。

 

 ミレと共に街を歩き、丘の上にある水晶球まで歩く。

 水晶球の周りには軽鎧のようなものとバトルアックスのようなもので武装したフェアリーノームがいた。

 ここがそれだけ重要なものだということがわかる。

 

「主様をお連れしました。これで向こうに出ている子たち以外も恩恵を得られるでしょう」

「こ、こんにちは……」

 

「ようこそ同調者。私たちはここで水晶球の守備を行っています」

「時々ですが、異世界の亜神が力を求めてやってくるので、そのために守備しています」

「世界の守護のため、私たちは同調者を待っていました」

 守備しているフェアリーノームたちが口々にそう話す。

 どうやらフェアリーノームの世界にも色々な問題があるようだ。

 ボクにできることは、今はあまりないと思うんだけど……。

 

「ではさっそく始めます。詳細な説明は後程行います。主様は私のやり方をまねしてくださいね」

「あ、はい……」

「それでは、私が先に触れて起動します。そのあと、主様が触れてください」

 ミレが水晶球に触れると、水晶球内部から光が溢れ水晶球を光らせた。

 

「わっ、すごい……」

 ファンタジーな光景だと思った。

 こんな良くわからない現象が、ゲーム以外で見られるとは思わなかったからだ。

 

「それでは、主様」

「あ、うん」

 ミレに促され、みんなに見守られたままボクは光り輝く水晶球に触れた。

 

 

「あっ」

 ボクが触れると同時に水晶球の光は徐々に終息し、やがて消えた。

「えっ? 消えちゃった」

 そう思ったのも束の間。

 一瞬後、水晶球から七色の光が溢れ、外へと広がっていく。

 七色の光はあっという間に街を超えその先へとどんどん広がっていった。

 

 どこまで行くんだろう? そんなことを思っていると、空の色に異変が生じていることに気が付いた。

 青かったはずの空の色が虹色になっていたのだ。

 

「おぉ」

「これが……」

「えっと、これで、本当にいいの、かな?」

 何が起きているのかわからなかった。

 あの虹色の光の意味は?

 理解が追い付かなかった。

 

「ありがとうございます、主様。これで世界は守られました」

「守られた……?」

 どういうことだろう。

 

「今放たれた虹色の光は、攻撃的な存在の侵入を防ぐ彩光壁というものなんです」

「彩光壁?」

「はい。私たちの同調者である主様によって、私たちの世界は、隣接する混沌から隔離・保護されたのです。これにより、世界に余計な存在が入り込むことを防ぐことができました」

 どうやら想像以上に大きな問題があったようだ。

 やっぱり理解が追い付かない。

 

「えっと、つまりどういうこと、なの?」

 ボクが問いかけるとミレは優しく微笑みながら言う。

 

「この世界は、主様の管理下となりました」

「え? えええええええええ!?」

 どうやら、ボクは世界を一つ手に入れてしまったようだ。