ゲームと小説と遊びの子狐屋じゃくまるブログ

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神様になったTS妖狐はのんびり生活したい~もふもふ妖狐になった新人神様は美少女となって便利な生活のため異世界と日本を往復する~ 第31話 帰宅へ

 散々楽しんだ日の翌日、ボクたちは一旦帰宅することにした。

 のんびりとした生活のためにも、サクサクやることを終えて自分の世界を作って引きこもったほうがいいと思ったからだ。

 

「それじゃ、遥ちゃん。また後で会いましょう。向こうでの仕事が終わったらお母さんもそっちに遊びにいくわね~」

「わかりました」

「では、私も一緒に行きますね。楽しみです」

「あ、あはは……」

 千早さんはボクたちについてくる気満々だ。

 それはそれで構わないけど、言うほど面白いこともないと思うんだよね。

 

「それと遥ちゃん。武器に関してだけど、自分でちゃんとしたものを作るまではこの金棒を使いなさい。妖狐族が使えば軽々と振り回せるわ。人間が使うと途端に重くなって動けなくなるという物でもあるけどね」

 お母さんが別れ際に渡してくれたのは、どう見ても重そうな鋼鉄製の余計な装飾のない八角形の金棒だった。

 持ち手に行くほど細くなっているのが特徴といえば特徴か。

 

「あ、ありがとうございます」

「これで襲ってくる変質者は粉砕してあげなさいね」

「え゛っ」

 どうやら攻撃用のほかに防犯用も兼ねていたらしい。

 変質者を粉砕って、どこを粉砕するんでしょうか……。

 

「遥様、変質者が来たら股間を狙ってこうです!」

 千早さんがゴルフのスウィングのような動きをして、下から相手の股間を狙う。

 つまりはそういうことか。

 

「一撃必殺お宝玉砕です」

 千早さんは恐ろしい子でした。

 

「ち、千早さんは、すでに、ご経験が……?」

 恐る恐る尋ねると帰ってきたのは笑顔のピースサインだ。

 

「2粉砕です」

 違った、撃墜数ならぬ粉砕数だったようです。

 

「えっと、に、人間を、ですか……?」

 ボクは恐る恐る尋ねる。すると千早さんは首を横に振る。

 

「オーク相手ですね。オークは股間を粉砕すると楽に勝てますよ。こうぐいっとやってずどんとやると、股間を抑えて悶絶して倒れこむので、踏みつけてから首を」

「も、もういいです! わ、わかりましたから」

 千早さん、容赦なさすぎる。

 

 でも、人型タイプなら下半身を狙うのはありかもしれない。

 倒すだけなら神経をやってしまったほうが動けなくできるはずだし。

 

「ええっと、転移水晶は向こうの転移部屋に置くとして……」

 向こうで過ごすのに必要なものを考えるが特に思い浮かばない。

 必要になったらこっちで買い物をするのもありかな?

 

「向こうのお金は使えないけど、鉱石類や素材は買い取ってるからそれでこっちのお金を作ってね」

「えっ? 向こうのお金は使えないんですか?」

 なんとなく使えるか両替できるかと思ったんだけど、だめなのか。

 

「アンティーク的な価値はあるんだけど、鋳造技術や精錬技術がいまいちで不純物が多い粗悪品なのよ。まだ金の延べ棒のほうがマシね。それでも地球ほどの純度は出せないから価格は落ちるけど」

 異世界事情厳しい!!

 もっと簡単に稼げるかと思ったけど、どうやら駄目なようだ。

 

「鋳造技術や精錬技術を高めるためにはそれなりの設備が必要だけど、簡単にやるなら遥ちゃんのアイテムクリエイトで金の延べ棒を作るといいわよ。でも気を付けてほしいのは、刻印が必要な場所では取引に使えない可能性があるってことね。流通させたいなら相談してね」

「あ、ありがとうございます」

 出発前に簡単なレクチャーを受けた。

 知らず知らずのうちにやっていたら少し面倒なことになったかもしれない。

 

「じゃあボクたちは一旦帰りますけど、また早めに来ますね」

「うん、待ってるわね。あまりにも遅いようだったらこっちから行くわ。一応連絡はテレパシーで入れておくわね」

「はい」

 早速妖都から自宅へと戻ることにした。

 

「それじゃ転移しますね。どうせだからゲートを開きましょうか」

 ゲートの開き方は習ったので試してみることにする。

 

 最初にボクの記憶を参照して設置済みの転移水晶に座標を記憶させる。

 次にリンクを繋げる。

 最後に一度行ったことのある人が往復してリンクを強固なものにする。

 この三つの工程だけだ。

 ちなみに、一度も行ったこともない場所だとリンクを繋げられないようだった。

 大事なのは座標と相互リンク。

 

「じゃあいきます」

 宣言してから仮設の自宅の転移部屋に繋げる。

 暗い通路がゆっくり開くと、その先には見たことのある部屋の風景があった。

 

「成功! じゃあいきますよ~」

 今回はお母さんも伴って一緒に空間を渡る。

 暗く長い通路は不思議と何の温度も感じないし空気の流れも感じない。

 でも、壁になっている部分に触れるとひんやりしているのと同時に沈み込むような感覚を得られる。

 これたぶんだめなやつだ。

 

「遥ちゃん、空間の壁に触れ続けていると飛び出ちゃうこともあるから気を付けてね」

「ごめんなさい」

 好奇心からやってしまったが、相当危ない行為なのだろう。

 

 しばらく歩くと光が広がり出口にたどり着いた。

 空間を歩いて渡ると少しだけ時間がかかるようだ。

 といってもそんなに長くはないと思う。

 

「転移の時は引っ張られるのにゲートを通ると引っ張られないのは不思議です」

「ゲートは安定してるからよ。何もない場所に穴を開けると不安定だから吸い込むだけ吸い込んで消えちゃうのよ」

 お母さんの説明でわかったことがある。

 確実に安全に運ぶなら安定しているゲートを開くこと。

 そしてもう一つは急ぎなら空間転移だけど、不安定なので一瞬しか開かないということだ。