ゲームと小説と遊びの子狐屋じゃくまるブログ

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神様になったTS妖狐はのんびり生活したい~もふもふ妖狐になった新人神様は美少女となって便利な生活のため異世界と日本を往復する~ 第36話 素材を買い取ってもらおう

「ミレ、ギルドに売る毛皮よろしくね」

 ボクの言葉を聞いてミレは空間収納から各種毛皮を取り出してギルドの買取カウンターの上に並べていく。

 ミレたちフェアリーノームも空間収納を持っているらしく、ボクでなくてもかなりの量を持ち運べるようだ。

 

「おぉ。空間収納か。フェアリーノームってやつはすごいな……。それにしても傷が少ない頑丈でいい皮ばかりだな」

 買取のおじさんは並べられた革を手に取り引っ張ったり撫でたりしながら感触を確かめている。

 良い獲物が取れる良質な狩場なだけあって、その毛皮はほかの街でも良く売れる良質な商品なのだとか。

 

「これはゴブリンの魔石ですね。全部売りでお願いします」

「任せろ! まぁゴブリンの魔石なんて日用品くらいにしか使えないんだけどな。でもその分非常によく売れるともいうんだが」

 カウンターの上に並べられた黒い宝石のような小粒の魔石をじゃらじゃらとかき集めると、おじさんが数を数えてから簡単に鑑定して袋に詰めていく。

 

「ゴブリンの小粒魔石20個で2000クレムってとこだな。小粒だ何だと言っても100クレムくらいにはなるから馬鹿にはできないぞ? まぁ最近のハンターは新人でもゴブリンの魔石なんて拾ってこないんだけどな」

「それはもったいない話ですね」

「だろう? 討伐報酬だけで十分だと思ってやがるんだ。おかげでこういった安い魔石ってのが不足気味でなぁ」

 どうやら村では魔石ランプとかにも気軽に使える、小粒魔石が不足気味なようだ。

 たしかに数を倒して報酬を得るなら、いちいちゴブリンから魔石を抜き出したりはしないか。

 でも逆に言えば、小銭稼ぎのチャンスなんじゃないだろうか?

 

「狼の皮もなかなかいいな。大振りだし頑丈だ。ふむ。これなら少し色を付けてもいいだろう。最近少し相場が上がり気味だからな」

 おじさんはそんなことを言いながら皮をまとめていく。

 

「相場が上がり気味ってことは需要と供給のバランスが釣り合わないってことですよね」

「お? 小さいのに偉いな~。そうだ。どうも討伐隊の遠征があるらしくてな、皮が不足してるんだってよ。まぁ例のごとく皮を剝ぐなんて自分でやらない限り手数料で実入りがへっちまうってのもあって、あまりやりたがらないんだよ。実入り低くても出してくれれば色くらい付けるのによ」

 どうやらこの辺りの皮類も魔石と同じような感じになっているようだ。

 

「でも根っからの猟師さんなら剥ぎますよね?」

 ここは疑問なところでもある。

 

「そういう人は大体自分で売り歩くか自分で使っちゃうんだよ。だから外部に出ても数が少ないか、伝手がある分ギルド経由しないパターンも多くてな」

 ベテランの猟師さんでもそうなのだから、ギルドとしては泣きたくなるのも当然なのかもしれない。

 

「しっかし、どっちがやったかは分からねえけど、きれいに丁寧に剥いだな。ちょっと色を付けて狼の皮が1枚3000クレムで、イノシシの皮が1枚2000クレム。狼の皮が20枚のイノシシの皮が10枚っと、銀貨8枚と+小銀貨1枚の合計81000クレムだな。いやぁ、ずいぶん儲けたじゃねえか」

「えへへ」

 褒められてちょっと嬉しかった。

 にしても結構相場が高いように思えるなぁ。

 

「思ったよりも高いんですね」

「いや~、普段はこうじゃねえんだが、かなり上等なものが多くて市場価格だとこれの2倍から3倍は固いんだ。普通のだったら狼1000のイノシシ800とかだな。それに剥ぎ取り手数料をいれると、一律500だからまぁ1枚ずつなら小銀貨1枚もいかねえな」

「ずいぶん差がありますね」

「いや本当に、この狼どもはどこにいたんだよってくらい上等だぞ? これならすぐ売れるわな」

「あ、あはは……」

 言えない。この狼が人間の入れない場所にいたなんて……。

 

「あのー、買取をお願いしたいんですが」

「お? ちょっと待っとけ。はいよ、嬢ちゃん。落とすなよ」

「あ、ありがとうございます」

 おじさんからお金の入った袋を受け取ってその場を離れる。

 

「あっ」

「?」

 目の前にいた男の子がボクのことを見ながら驚いたような顔をしていた。

 誰だっけ? 見たことある木はするんだけど……。

 

「マーク、今日は何持ってきたんだ?」

「え? あ、ご、ゴブリンの魔石です」

「おう、ちょっとカウンターの上に出しとけ」

 おじさんにそう指示されるも、マークと呼ばれた男の子はボクの顔を見て動こうとしなかった。

 

「ひ、久しぶり」

 マークさんがボクにそう挨拶するけど、覚えているような覚えていないような良くわからない感じなので、どう返事をしたらいいかわからない。

 

「え? あ~、ども」

 とりあえず無難にやり過ごすことにしよう。

 

「森で会った時、以来だな」

「え? あ、はい。そうですね?」

 う~ん……。

 森ねぇ……。

 誰かに会ったことまでは覚えているんだけど、そのあとミレたちに出会ったので印象に残ってないんだよね……。

 

「お~い、マーク。まだガキなのに女の子を口説いてねえでさっさと早く出せ」

「あ、す、すみません」

 マークさんはいそいそとカウンターの前に歩いていく。

 んじゃ、ボクはさっさといきますかね。

 

「おじさ~ん。またきま~す」

「おう! 次も期待してるぞ」

「は~い。ミレ、ミカ、ミナ。いこっ」

 こうしてボクたちは買取を終えてそのままギルドを出たのだった。